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【猫の糖尿病 インスリン・低血糖について】

猫の糖尿病治療に欠かせないインスリンのお話と、
インスリン治療で一番注意する低血糖について書いています。
糖尿病猫と同居の方はご参考になさって下さい。


【糖尿病猫バ〜】







■ インスリン(インシュリン)とは ■

血液中の糖の値をコントロールするインスリンというホルモンが
膵臓(すいぞう)で作られています。

糖尿病は、そのインスリンの分泌量が低下したり、インスリンを全く作れなくなったり、
インスリンに対する反応が悪くなる病気です。

かんたんに言っちゃうと、体でインスリンを作る量が減ったなら、
足りない分を注射で入れてあげよう、と言うのがインスリン注射治療です。



(画像:バ〜との大きさ比率は違います)


【猫の糖尿病とインスリンの関係】


全ての糖尿病猫がインスリン注射をしなくてはいけないわけではありません。
猫の糖尿病は3つにわけることができます。

●インスリン非依存型糖尿病(2型)・・・インスリンによる治療が必要
●インスリン依存型糖尿病(1型)・・・食事療法などで治療
●耐糖性障害(3型)・・・ホルモン誘発性の糖尿病

猫の糖尿病の場合、犬と違ってインスリン注射の必要のない場合もあります。
特に肥満タイプの糖尿病です。その場合、食事療法食でコントロールします。

一過性糖尿病(潜在性糖尿病)の場合も、インスリン注射がいらない場合や、
一時的なインスリン治療で完治する場合があります。


インスリンはお薬ではありません。ホルモンです。
ですから、糖尿病猫が
インスリン注射をして血糖値が良くなったからといって、
勝手に量を増減したり、注射をやめてはいけません。

それは、直ったのではなく、
インスリンを注射しているから良い血糖値の数値が出ているのです。
インスリンの分量の変更や中止をする場合は、主治医さんの指示を仰ぎます。


※猫の糖尿病について詳細は「猫の糖尿病について」に記載。左カテゴリーからどうぞ。
 (左にご案内が表示されていない人はこちらから)






【低血糖について】

インスリン治療につきものの、低血糖のお話です。


正常値(糖尿病でない元気な猫の血糖値)は、80〜130mg/dl前後です。
糖尿病の猫の場合、治療によって100〜200mg/dlに安定するように目指します。
(絶対にこの数値内にしないといけない訳ではなくてあくまでも理想的な目標値)

糖尿病猫の場合、高血糖の時500〜600mg/dlにもなる場合があること、
インスリン増量により早急に死に繋がる低血糖になる危険性を考えると、
ケトン体が出ているような場合は別にして、
やや高血糖ぎみの
200〜300mg/dlでも良いのではないかという意見が最近では多いです。
300mg/dl台(300〜399mg/dl)でも良いのでは……という意見もあります。(2013年現在)


インスリンは血糖値を下げますが、たくさん注射し過ぎると低血糖になります。
糖尿病の場合、インスリンの打ちすぎによる低血糖が一番怖いです。
低血糖は高血糖と違い、早い時間で危険な状態になります。
血糖値が高いからといって、自己判断でインスリン量を増やしてはいけません。


●原因としては、インスリンが過量の場合、食事量が少なくなってしまった場合が考えられます。

●低血糖(
80mg/dl以下)の場合は注射を止めて、主治医さんに診てもらいます。

●インスリンの過剰投与でなくても、突然低血糖になる場合があります。
 毎日の様子を観察することが早期発見に繋がります。

●インスリン注射治療を自宅でする場合は、もしも低血糖症になった時の処置を
 必ず主治医さんから教わっておきましょう。

●もしも低血糖になった時は、下記(低血糖時の処置)をして、すぐに病院へ連れて行きます。
 主治医さん以外の病院でも「糖尿病猫で低血糖の可能性がある」と言えば対処してもらえます。

●前もって動物病院の緊急時連絡先や夜間病院の住所を調べておきましょう。

●いざと言う時のために、砂糖(蜂蜜、ブドウ糖など)は用意しておきます。

●最低血糖値になるのは夕方が多いとの意見もあります。
 (個体により違います。バ〜の場合は低血糖経験時間帯は夜半でした)



低血糖は命にかかわります




■ 低血糖の症状 ■

低血糖時の症状は、以下があります。

●元気、食欲の低下 ●ふるえる(痙攣) ●昏睡する ●ぐったりする(虚脱)
●動かなくなる ●寝たまま ●運動失調 ●頭を傾けたまま ----など

上記以外にも、猫固体によって症状が違います。いつもと違うと思えば、要注意です。
バ〜の場合は、元気がなくなる、嘔吐、脱糞、虚脱、痙攣などの症状がみられました。

高血糖と違い、低血糖は短時間で
死んでしまう場合があります
様子がおかしいと思えば、すぐに対処して下さい。



ふだんと様子が違ったら要注意! 即対処!




■ 低血糖時の処置 ■

低血糖は処置をせず放っておくと死亡する場合があります。
毎日の観察が大切です。


●キャットフード(処方食など)を与える。
●糖分(砂糖、蜂蜜、コーンシロップ、ブドウ糖など)を口にいれる。
 無理矢理飲ませず、口の中に塗る感じで。
●病院へ連絡、連れて行く。

低血糖の症状(痙攣など)が出た場合は、まずは上記の処置を迅速に施します。
処置せず病院へ連れて行くと(場所にもよりますが)移動時間内に死んでしまう場合があります。
まず、フードを与えて様子をみます。
すぐに連絡がつくようならば、主治医さんや動物病院に電話をして、支持を仰ぎます。
フードさえ食べられないような場合は、糖分を口に入れます。急いで病院へ連れて行きます。



砂糖は常備しよう!







■ 持続的な低血糖 ■
(※専門的なので読み飛ばしOK)


インスリンの効き過ぎでの低血糖は、上記の処置(フードや糖分を与えるなど)ですが、
緩和している可能性がある場合は主治医さんに検査してもらいます。

血液検査で低血糖と判断された場合は、グルコースのインスリンポンプでの持続点滴をして、
ランタス投与量を減らし血液検査をすることにより、糖尿病が緩解しているか調べる場合があります。

血液検査によって低血糖であっても、高炭水化物のキャットフード(ロイヤルカナン糖コントロール、
ヒルズ m/d、減量食や腎臓病用処方食など)を与えることにより管理することもできます。

最悪、血糖値を上げるためにランタス投与を止め、180mg/dLでランタスを投与する処置もあります。
ただ、インスリンを以前と同量投与すると、高血糖になるかもしれないというリスクがつきます。






【初期のインスリン治療】

糖尿病発祥初期の手当てについて


●インスリン注射治療開始時のランタス投与量は(1日2回投与)
 血糖値が360mg/dL以上----体重1kgあたり0.5U
 血糖値が360mg/dl以下----体重1kgあたり0.25U

 もちろん、猫の肥満度や様子、状態によって変わります。
 ランタスの初期投与量への猫の反応は慎重にチェックします。
 3日間は僅かしか血糖値は降下しません。過分にインスリンを増量しないように注意。
 インスリンにより血糖値がコントロールされるのは、10日目以降です。
 基本的に、治療開始1週間は増減しません。

 低血糖の症状が出た場合は、インスリン量を減らします(主治医さんに相談)。

●2〜4時間くらい毎に、血糖曲線(血糖値の変化)を記録します。
 ※教科書上では1時間おき。

●3日〜1週間ほど入院して治療、インスリン量の決定などしてもらいます。
 バ〜の場合は、1週間の予定でしたが5日間の入院でした。

●退院後、通院は基本的に毎週(1週間毎に)行い、
 インスリンの効果(コントロールできているか)を血液検査をして調べます。
 場合によっては、インスリン量を変更します。
 バ〜は退院翌日、5日目、12日目、27日目に通いました。

●ケトアシドーシスの場合、1〜3日間、ランタス皮下注射と
 レギュラーインスリンの筋肉注射、静脈注射を行う場合があります。




■ インスリン注射の回数 ■


インスリンによる血糖コントロールは、1日1回よりも1日2回の方が効果的といわれています。

糖尿病猫同居人さんの生活のリズムなどで、1日1回しか無理な場合は、
長時間作用型のインスリンを使用したり、長時間型と短時間型を組み合わせることもあります。
毎日の治療ですので、主治医さんに相談しましょう。




■ インスリン量の変更 ■
(※専門的なので読み飛ばしOK)


インスリン注射量を変更する場合は、必ず主治医さんに相談して下さい。
変更する場合は、最低血糖値、インスリン注射前の血糖値などの血液検査、
毎日の飲水量の増減、尿量の増減、尿糖の尿検査などをする必要があります。

●ランタスによる血糖値の目標
 インスリン注射前の血糖値が180〜216mg/dl
 最低血糖値が90〜180mg/dl
 (既に血糖コントロールされている場合は、最低血糖値72〜145mg/dl)

●ランタスの増量の目安(高血糖の場合のインスリン量変更)
 インスリン投与前の血糖値216mg/dl以上----0.25〜1単位ずつ増量(注射毎)
 最低血糖値が180mg/dl以上----0.5〜1単位増量(注射毎)
 (既に血糖コントロールされている場合は、最低血糖値145mg/dl以上で増量)

●ランタスの減量の目安
 注射前の血糖値が180mg/dl以下----0.5〜1単位減量(注射毎)
 (既に血糖コントロールされている場合は、最低血糖値54mg/dl以下で減量)

●ランタスの量を増減考慮パターン
 血糖値(血液検査)の他、飲量、尿量、尿検査(尿糖)、臨床症状、インスリン治療を
 始めてからの期間など考慮した上で、インスリン量変更を検討する場合があります。
 インスリン注射前の血糖値 198〜252mg/dl
 最低血糖値 54〜72mg/dl

※上記のインスリン増量、減量は参考値です。主治医さんに判断してもらいます。





■ 糖尿病の寛解の可能性とインスリン中止 ■
(※専門的なので読み飛ばしOK)


稀に寛解(症状が軽減した状態)に至り、インスリン治療を休止することもあります。
休止する場合は、もちろん主治医さんの支持を仰ぎます。
その場合、インスリン投与量は極少づつ減量します。
急に休薬すると安定せず、高血糖に陥ってしまうことがあります。
自己判断で休薬はしません。


微量のインスリン注射によって治療している猫の場合、
グルコース(血液中に存在するブドウ糖)中毒からβ細胞を回復させたり再生する場合があります。
このような寛解の可能性がある場合は、低血糖に注意が必要です。


インスリン注射前の血糖値が216mg/dL以下(最低血糖値は正常範囲内)の場合、
寛解に到る場合があります。
急に投薬を止めたり減らす単位が大きいと、安定せず高血糖に陥る可能性が高いです。
寛解に到るまでには、インスリン投与量を極微量づつ減量していく必要があります。

●寛解期の猫のインスリン注射量(180mg/dl以下)
 インスリン注射を止める場合でも、最低半月以上は注射を続けます。
 最低血糖 72〜126mg/dlか、インスリン注射直前の血糖値 180mg/dl 以下の場合、
 0.25〜1U (1回)の微量ずつ減らし、0.5〜1U (1回)の1日1回注射まで減量するのが理想です。

 注射前の血糖値が180mg/dl 以下、1日1回注射のペース、注射量 0.5〜1U までいったら、
 インスリン注射は中止し、半日以上の血糖曲線を記録します。
 異常がなければ、インスリン注射終了。
 その後も血糖値を検査したり、尿量、飲料はチェック。観察は怠りません。


●寛解期の猫のインスリン注射量(200mg/dl以上)
 インスリン注射前の血糖値 200mg/dl 以上の場合、1日2回の注射で、1単位ずつ減量します。
 血糖値が200mg/dl 以下で、インスリン注射を中止。
 その後の飲料、尿量をチェック。
 1週間以内に血液検査と尿検査(尿糖)をします。
 異常がなければ、インスリン注射終了。一応、その後も血糖値を検査したり、尿量、飲料はチェック。
 もしも、尿糖があったり、高血糖になっていた場合は、インスリン注射を再開しなくてはいけません。

インスリンの増減、休止は自己判断ではしません



インスリン抵抗性(血糖値が下がらない、インスリンが効かない)
については、「猫の糖尿病について」に記載しています。カテゴリーからどうぞ。
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【インスリン量が多くても高血糖になる・ソモギー効果】


インスリンが少ないと高血糖になりますが、インスリン注射量が多過ぎても高血糖になります。
簡単に言うと、インスリンを打ち過ぎて低血糖になり、体がヤバイ!と判断して血糖値を上げるのです。
その他、インスリンの効きが短い、合併症、注射の失敗も原因にあげられます。
血糖曲線(血糖値の変化)で見ると、高低差が激しいです。
このような症状を、ソモギー効果(ソモジー効果)と言います。

以上、高血糖だからと言って、インスリン量を増やすのは危険な行為です。
もしも高血糖が続いたら主治医さんに相談して下さい。

 ※ソモギー効果については「猫の糖尿病について」にも記載しています。左カテゴリーからどうそ。
  左に「ご案内」メニューが表示されていない人はこちらから。






【インスリン治療の糖尿病猫は痩せる?】



糖尿病でインスリン治療を続けていると、痩せてくることがあります。

理由としては、良いパターンと悪いパターンがあります。
●フード、消費エネルギー、インスリンのバランスが管理されている良い場合。
●必要以上に糖が出ていく為に、足りない分を脂肪などからエネルギーを使ってしまい
 ケトアシドーシスになるような悪い状態。

尿検査をして糖がおりているようならコントロールができていないということになる。
インスリン治療を続けて体重が減ってきた場合は、血糖コントロールができているか、
尿糖は降りていないか、で善し悪しを判断する。

上の画像は、過去一番ぷよ猫だった頃のバ〜の体型と、インスリン治療を始めて843日目のバ〜。
一目瞭然で痩せている。





上の画像は闘病生活1995日目のバ〜。
すっかり健康的な体系に戻り、いささか太り気味でもある。
少し体重を減らそうとしている時。(体重 5.4Kg、目標体重 5.0Kg)



ちなみに、画像を見て「死んでるの?! 麻酔?」と思われた方は、心配御無用。
バ〜は撮影時シャッターを切るまで、動かずじっと待っていてくれるモデル猫なのです。



※インスリンの種類、使用方法、シリンジについて、注射の仕方は、
 「シリンジとインスリン、注射の仕方」コーナーに記載。
 左のカテゴリーメニューからどうぞ。
(左にご案内が表示されていない人はこちらから)







猫の病気の予防にはふだんからの健康管理が一番大切です。
いつもと変わりはないか、元気にしているか、
同居人さんは猫さんとのコミュニケーションから猫をよく「見る」ことを心がけましょう。

著者館主は動物のお医者さんではなく素人です。
記載しているものは、個人的にお勉強したものの一部で、バ〜の症状を例にした事例などです。
ですから(もちろん)診察に代わるものではなく、治療を指示、治癒を保証するものではありません。
正確性も確実ではないかもしれませんし、館主が責任を負えるものではありません。
あくまでも一例として参考に、館主のお勉強ノートの公開と思って下さい。
猫さんによって糖尿病の症状や治療は違います。
糖尿病に病んでいる猫さんが一匹でも元気に幸せに暮らせることを祈っております。

猫さんに心配事、治療法や予防法に関して、糖尿病についての詳しい知識などは
主治医さんに早めにご相談して下さいね。




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